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当ブログは株式会社トミーウォーカーの運営する『サイキックアーツ』の参加キャラによるブログです。
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『ふ・・・面白ォオーいッ』

派手に瓦礫を飛ばしながら立ち上がる相手。

『いいぞ!俺はお前のような相手を求めていたんだ!』

興奮したように叫ぶ相手に対し、父の口から短く溜息が漏れる。

「生憎、俺の方は願い下げだな。お前のように吼えるだけの相手は耳が痛くて叶わん」

『―何だと?』

途端、水を打ったように静かに問い返す相手。

「御託を並べるだけなら雑魚でも出来る。生憎、今回は雑魚でも手加減をしてやる事は出来んがな」

『貴様・・・ッ!』

全身を震わせ、相手は怒りを顕にする。

「来い」


その挑発を合図に、相手は自分に仕掛けてきた時よりも更に早く。恐らくはそれこそが全力の速さで迫る。
振り上げた拳はフェイクに使われる事もなく、速度も乗せられたまま突き出された。

まともに受ければひとたまりもないだろうその一撃を、父は半身を捻り最低限の動きで真芯から外れれば、左手で受け流しつつ相手の懐に入る。
此処までは先の自分の動きと同じだが、踏み込んだそこからは動きを異とし、懐に構えられたままの相手の右手を左手で掴み下げさせれば空いた顔面へ右の裏拳がめり込んだ。

『げは・・・ッ!』

相手の速度を殺す事なく、逆にその勢いに合わせた一撃は踏み込むと同程度の勢いで相手を後退させる。

『む、ぐ・・・』

「どうした。この程度か?強さを求めるアンブレイカブルというのは。・・・いや、違うか。人の子を人質にしなければ、立会いすら望めぬ程度の実力しかないのかお前の場合は」

『言わせておけばァーーー!』

飛び掛かってくる相手からは、拳と蹴りの乱打が放たれた。

一撃一撃は、先のような重さはないがその分隙は少なく数が出る。
しかしそれもまた、冷静に拳はまともに受け止めず流すように捌き、蹴りは膝を上げ受け止めていく。

『オオオオオォォォォォォオオッ』

「・・・だから耳が痛くて叶わんと言ったんだがな」

拳を捌きながら。
再び蹴りを見舞おうとする相手の動きに先手を打ち、相手の膝を蹴り抜く事でそれを阻み更にはその勢いで体制を前のめりに崩させる。

「ふっ」

前傾となった先、正に格好の的として突き出された顎元へ渾身のアッパーが入った。

『が、は・・・っ』

そのまま吹き飛んだ相手は、自分が倒れている近くへと落ちてくる。
だが即座に起き上がる気配はない。確実に威力のある一撃をクリティカルに食らっていれば無理もないだろう。

「――立て」


そこへ近付きながら告げる父の一言にはしかし、怒気が強く込められ短く大きな声ではなくとも体に振動するように響いた。


圧倒的だった。
自分がまるで歯が立たなかった相手を、まともな一撃を受ける事すらなく。


―――お前の父には異名がある。父を知る者であれば誰もが知る、もしくは聞いた事がある名が。


フラッシュバックする昔の記憶。

それが。

『・・・これが、天虎鋼拳っ』


口元の血を拭い、相手が立ち上がる。


『確かに強い。“あの男”に聞いた通り・・・いや、それで聞く以上の実力だ』

その言葉に父が眉を顰める。

「何?」

『強者を求めて彷徨っていた先で聞いたのだ。貴様の事を、六六六人衆の“紅き鬼紋”を持つ男からな』

「な、に・・・!?」

その時。
初めて父の顔に明らかな動揺が走った。

「・・・そうか、それで合点がいった。俺の息子を狙ったのも、その男の入れ知恵か!」

『然り。ついでに、貴様の息子の素質も見抜き、その友を血祭りに上げるのがより効果的だともな』

「―え」

それまで静かに、事の成り行きを見守っていた自分が今度は凍り付く。

「それはどういう・・・」

相手は此方に顔を向け、フンと鼻を鳴らす。

『言葉通りだ。貴様が向っていた先に居る友人とやらは、貴様の情報を得るのと引換えに事切れたわ。家族共々なァ』


ドクン


――それじゃぁ良輔!後でな!


「死ん、だ?あいつ、が・・・?」

ドクン


『ふん、やはり一般人は脆い。貴様や父と巡り合う為とは言え、実に張り合いがなかったわ』


「俺の、せいで・・・?」

ドクン


―コワセ

「あ、ああ・・・」


体の奥底から。甘く甘く、声が聞こえる。


―コワセ ナニモカモ


ドクン

「おま、え、はァァァァァァ・・・!」


ドクン


再びドス黒い煙のようなものが先ほどよりも強く濃く、この身を覆っていく。

「!良輔っ」

父が慌てて叫ぶが、何故かその声は遠い。

それよりも、

―スベテヲコワス チカラヲ ツヨサヲ 

身の内に響く声が、頭の中で反響する。


―ワレニ ユダネヨ


「オ、オォォォォォオオオオオオオーーーーーーッ!!!」


一際強い、咆哮共に煙が弾けるように広がった。


「しまった・・・!」

頭の中で響いた声が止んでいる。
痛みも止み、清々しいほどに気分が晴れている。

だが、この自身の目で見ていない感覚は何なのか。



「ククク・・・遂に、遂に出てこれたゾ。オレサマが!」


自らの声音で勝手に話す口は、何なのか。
考える意識が、段々と靄にかかったように希薄になっていく。


『生まれたか、同胞よ』


「これが、この状況を作り出す事こそが狙いだと・・・ヤツは!」

父の目の前に立つ、傷つきながらもまだ倒れるには遠いアンブレイカブル。
そして、

「ケイセイギャクテン、だなァ?オヤジィ!く、ククク・・・」

その隣に立つ、自分の姿をした“ナニカ”

「闇堕ちを、したというのか・・・良輔ぇ!」


「ヒャァーーーハッハッハッハッ!!」


この時の自分は、一体どんな目で父を見ていたのだろうか。



―To Be continude
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